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若妻奴隷 坂井幸絵 『幸絵の想い』

『幸絵の想い』

幸絵の記憶が正しければ、
麻紀同様、彼が訪れ始めたのは
ここ1~2週間のことである。
恐らく、隣町スーパーの臨時休業の為に訪れた客であろう。

”・・でも、あの子は・・・・?”

「あ・・あれっ・・・、
 あんまり冷えてないや・・・。」

若者は冷蔵庫の前に
屈みこみながら声を上げた。

「もう・・・売れた分だけ
 いつも、補充しておきなっていってるのに・・・。」

どうやら、ここの息子らしい。
留守にした母親に小言を言いながら
奥のほうの2本を取り出し振り返った。

「あの・・ごめんなさい、
 入れたばっかりみたいで
 あ・・あんまり冷えていないみたいです・・・。」

若者は申し訳なさそうに
ちらちらと幸絵の機嫌を伺いながらそれを並べた。

「そ・・そうなんですか・・・?」

つい先程、
ここで購入したばかりであった為に
有るはずと思い込んでいた幸絵の声は上ずっていた。

”どうしよう・・・”

並んだ2本のペットボトルを見つめ
下唇を噛んでいる幸絵に
若者は遠慮がちに呟いた。

「あ・・あの、やっぱり、もっと・・・、
 冷えたのが欲しいですよね・・・?」

「は・・はい・・・、でも・・・。」

若者が冷蔵庫の奥まで
1本1本確かめてくれていたのを
幸絵は知っている。

「じゃ、ちょっと、
 それ貸して頂けますか・・・?」

「え・・・?あ・・・!」

返事の前に幸絵の持ってきていた水桶を
半ば奪うように受け取ると店先に出て水の半分以上を
零してしまった。

ジャバババ・・・

むっと、熱せられたアスファルトの匂いが
店の中まで流れてきた。

「あの・・・何を・・・。」

幸絵は慌てた。
義春と約束していた拷問実験、
”読経前までに水を零さず階段を駆け上ってくること”
を果たせなくなったからである。

「大丈夫っ!」

困惑の様子を隠せない幸絵に
微笑みながら若者は再び早足で冷蔵庫に向かった。

思えば、
中腹の給水所で汲めば良い水を
ここまで持ってきていることの
幸絵の行為が奇妙なことであった。

しかし、おかしな行為と知りながらも
やはり義春との約束は幸絵にとって最重要課題である。

その奇妙な事情を
説明するわけにもいかない。

幸絵は約束を果たすことが出来なくなった
無念な視線を
若者の背中に注ぐしかなかった。

唯、若い店員の”大丈夫”という言葉には
”中腹で汲めば良い”としただけではないことを感じていた。
店員は冷蔵庫の更に奥にある
冷凍庫から四角い氷の塊を取り出してきた。

店先に吊るされていた
白地に赤の文字で”氷”と染め抜かれた暖簾を
幸絵は振り返った。

”・・・え?”

ガツ、ガツ、ガツ・・・

やおら若い店員は
氷と共に持ちだしてきたアイスピックでそれを砕き始めた。

ガツガツガツ・・・

「いつも、これの為にやってるんです・・・。」
そういえば今年かき氷食べてなかった。。。ふぃがろ

若者は幸絵にウィンクしながら
アイスピックを持ったその手でグラスを傾ける仕草をした。

砕かれた氷をザラザラと水桶に入れると
瞬く間に残された生暖かい水に融けていった。
だが、やがてその速度は収まり、
流氷のように水桶の中を姿を留めながら漂い始めた。

一緒に入れた
ペットボトルの表面も白く曇り始めていた。

”ああ・・・。”

義春に冷えたコーラを捧げることが出来そうなことに
幸絵の顔も和らいできていた。

「・・・ごめんなさい、
 スーパーみたいに
 レジ袋とかあれば良かったんだけど・・・・。」

幸絵のその様子を伺いながら若者が呟いた。

「え・・・・?」

幸絵は顔を上げた。

「スーパーのお姉さんです・・よね・・・?」

顔を赤らめながら彼は幸絵に尋ねた。

”ああ・・・やっぱり・・・。”

自らの記憶に
確信を持った幸絵であったが
敢えて気付かぬ振りをして応えた。

「はい・・そうですけど・・・。」

「・・・・。」

笑みを浮かべながら頷く
若者からは間違えているはずはないとの
自信が溢れているようだった。

「いつも、
 ありがとうございます・・・うふっ。」

冷たいコーラが用意できそうな余裕からか
幸絵はストアでの挨拶をした。

「あ・・いえ・・・。」

その笑顔が眩しいとばかりに
若者は視線を逸らした。

「も、もう少しかな・・・?」

ガツガツガツ
慌てて氷を砕き始めた。

”・・・可愛い・・・。”

その若者の仕草に
思わず可愛らしさを覚えた。

”でも、よかった・・・。”

物足りないかもしれないが、
義春に渡す頃には
更に冷却は進むはずである。

冷たいコーラを捧げ
義春の喉を潤し、クールダウンすることが
何よりも優先しなければいけないことである。

そして
幸絵は水を零して(零されて)しまったことも
正直に告げるつもりだった。

”幸絵加虐生殺自在主様には
 絶対嘘をつきたくない・・・。
 隠し事も一切致しません・・・。”
カラーで作りましたが敢えてモノクロだったりする

いつも幸絵が
自分自身に誓っていることである。
身も心も義春に捧げている実感こそが
彼女の気持を充足させることである。

正直に伝え、
折檻を受けることに
その気持が満たされるのを感じていた。

つい先程までの焦燥感が
急激に収束していくのを
幸絵は感じていた。

改めて若者の機転に感謝し、
新たに遮二無二砕いた氷を水桶に
入れているその姿に好意を抱いた。

「ありがとうございました。
 お幾らになりますか・・・?
  氷もたくさん砕いて・・
   入れて下さって・・・。」

幸絵はコーラと共に
氷の代金も支払おうとしたのだが
”冷やしてなかった自分たちが悪い”と
若者は頑として受け取ろうとはしなかった。

「あ・・それも、
 処分しておきますから・・・どうぞ。」

若者は両手を差し出しながら
幸絵が持っていた空のペットボトル2本を受け取ろうとした。

「え・・これは・・・
 いいですよ・・・大丈夫です・・・。」

若者の申し出は嬉しかったのだが、
氷の一件もあり、遠慮した幸絵だった。

「でも、どこかで
 捨てなければいけないでしょ?」

「え・・、それは・・・そうですが・・・。」

「なら、どうぞ遠慮しないで・・・・。」

屈託の無い笑顔で
手を差し出す若者の好意に
幸絵が抗う必要は無い。

「ありがとうございます、
 助かります・・・。」

礼を言いながら
幸絵はペットボトルを渡した。

「いえ・・・どう致しまして。」

親切にするのが嬉しいと見えて
若者は相好を崩し、
それらを受け取った。

”とっても、
  いい子・・・この子、そうなんだ・・・。”

今日とは違う
哀玩ストアで見かける姿とダブらせて
幸絵は若者を見ていた。

”あ・・・いけない・・・・。”

そろそろ義春と約束した
住職の読経の時間が迫っていた。

「では・・あの、
 ありがとうございました。
 また、伺いますね・・・。」

タプン・・・・。
コロコロコロ・・・・。

水桶を持ち、
店先を出ようとした。

「あ・・あの・・。」

「え・・?」

振り返ると
若者が真っ赤な顔をして
幸絵を見つめていた。

「あの、もし、もし良かったらですが・・・!」

「・・・・・?」

若者の問いかけに
幸絵は店内に身体を向き直し
軽く首を傾げた笑顔で問い直した。

「はい・・・何ですか?」

「しゃ・・写真・・、
 一緒にとって下さいせんか・・・?」

「え・・・?」

顔を更に紅潮させた
若者の身体は少し震えていた。

意表をついた申し出であったが
その若者のいじらしさは
幸絵の母性本能をくすぐった。

「はいっ、いいですよ。。。。!
 そんなことであれば。。。。!」

若者の緊張を解く為に
努めて明るく答え微笑んだ。

「やったっ!!」

若者は拳をぐっと握りしめると
それを震わせながら喜びの声を上げた。

「じゃあ・・外で・・・。」

若者に促され店先を出ると、

”あ・・・・”

白い陽光に包まれた景色が
暗い店内に慣れた目を刺激した。

思わず翳した手のひらに当たる
日差しがぴりぴりと
その暑さを伝えてきた。

瞬く間に全身の汗腺が開き
冷却を始めたのが判った。

「この辺りでいいかな・・・。
 でも・・・。」

若者は景色と光の具合を気にして
幸絵の目の前を右往左往していた。

”・・休まず、駆け上っていけば
 まだ、ぜんぜん間に合うし・・・・。”

約束の時間が押し迫っているのが
気になりはしていたのだが、
若者に気取られぬように努めた。

”・・・・ピッピピピ・・・”

携帯電話のシャッター音が鳴った。
「光の具合が・・・」とか若者は呟き、
3~4枚を取り直した。

無邪気に歓んでいる若者の笑顔に
時間がないことを伝えられない幸絵だった。

幸絵さん、少し微妙な笑顔。。。

「ありがとうございます。
 わた・・いえ俺、これ宝にします・・・
 またどうぞ寄ってください。」

満面の笑みを溢して若者が頭を下げた。

「いえっ・・こちらこそ・・・
 どうぞ、またストアにもいらして下さい。」

幸絵も頭を下げた。

「は・・はいっ・・・。」

「では・・失礼します。」

幸絵は酒屋を後にした。

小走りに山門をくぐり
幸絵の後姿が見えなくなるまで
見送った若者は
飛散した机の上の氷の破片をを集め始めた。

「・・・坂井雪絵さん・・・。」

ぽつりと彼は呟いた。

-------------------------
あとがき

雨ですね。。。
窓から眺める景色を愉しみ、
ゆっくりと過ごしたい週末です。。。

Badさん
オペラ見ました。
確かにあまりエッチではないけど、
いろいろな女性の体型があるのだなぁと
改めて関心しました。。。

ではでは。。。。


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若妻奴隷坂井幸絵『酒屋の若者』

『酒屋の若者』

参拝客を見込んで作られた
その酒屋は酒の類いの他、
子供向けの菓子や飲み物を置いていた。

古くからそこにあったと見えて
木造家屋が黒ずんだそれは、
この建物の歴史を物語っていた。

「我侭言って、
 申し訳ありませんでした、
 ・・・いいんですか、本当にこれだけで・・。」

幸絵はコーラの代金を渡しながら礼を述べた。

「はい、大丈夫です・・・。
 今度はちゃんと冷やしておきますっ。」

代金を両手で大事そうに受け取りながら
若い店員は頭を下げた。

「・・・でも、やっぱり・・・。」

「・・・・いえ、いいですよ、
 ほんとに・・・。」

少し照れたようなその仕草で
返事をする若者に幸絵は恐縮していた。

長い階段を駆け下りた
幸絵は漸くこの酒屋にたどり着くことが出来た。
今から10分程も前のことである。

「申し訳ありません、・・・いらっしゃいますか?」

古い家屋特有の薄暗さと
ひんやりとした空気が漂っている店内から
返事はなかった。

「すみませーん・・・。」

”さっきはいらっしゃったのに・・・。”

義春と共に参道に登る前に一度訪れ
ここの女将と見られる女性から
コーラ2リットルを2本購入していた。

「ごめんくださあぁい・・・。」

店の奥に声を掛けても
その元気な女性の返事が返事は無かった。

”あぁ・・お留守なのかしら・・・?”

幸絵は焦った。
幸絵自身が約束した住職との
義母の智子の三回忌の時間が迫っている。

夫、義春も必死に
上の階段を登っているはずである。

”お出かけになったのかな?”

タタタ・・

幸絵は軒先から道路に出て
左右を見回したが人の気配はない。
遠くアスファルトが逃げ水を
ゆらゆらと踊らせているのが見えるのみだ。

”ああ、幸絵加虐生殺自在主様・・・”

この炎天下、
階段を上り続けている義春の姿を思うと
幸絵は自然と歯をかみ締めた。

”早くお持ちしないと・・・、
  幸絵加虐生殺自在主様が
   熱中症になられてしまうかも・・・?”

もう一度辺りを見回しても
この酒屋以外にコーラを購入することが出来そうな店はない。

”ああん・・・・。”

タタタ・・

幸絵は再び店内に戻ると、
精一杯の声で叫んだ。

「すみませんっ・・・
 コーラ・・コーラを頂きたいんですが・・・!?」

すると、

ダダダダダ・・・ッ

階段を駆け下りる音が響き、
店の奥からTシャツを着た若者が現れた。
慌てて階段を駆け下りる若者。

「は・・はいっ、
 いらっしゃいませ・・・・。」

慌ててジーパンのファスナーを上げ
ゴム草履を突っ掛けながら
挨拶した若者が
顔を漸く上げたのは
幸絵の目の前に来てからだった。

「ご・・ごめんなさい、
 宜しかったでしょうか・・・?」

若者の慌てた様子に
幸絵が恐縮した。

「あっ・・・い・・いえっ・・!
 だ・・大丈夫ですっ・・はい・・・。」

幸絵のその言葉に驚いたのか、
若者は慌てて返事をして首を振った。

「あの・・冷えたコーラ、御座いますか?
 2リットルサイズのペットボトルを2本頂きたいんですが。」

幸絵は若者の返事を確かめた後、
丁寧に尋ねた。

「えっ・・あっ・・・ああ、はいっ・・・。」

返事をした後
何度も振り返りながら
若者は店の奥手にある業務用の冷蔵庫に向かった。
幸絵の顔を確かめている様子が伺えた。

”・・・・あ・・・あの子・・・。
  え・・あ・・・でも・・・・・?”
 
幸絵の記憶はすこぶる良い。
自分のレジに訪れた客の顔はその殆どを覚えている。

酒屋に誰もいないことに慌てていて
気付かなかった幸絵だったが
その顔は確かに哀玩ストアで見たことのある顔である。

やはり、麻紀同様、
ここ1~2週間のことである。
恐らく隣町スーパーの臨時休業の為に訪れた客だった。

----------------------------------------------------
あとがき
めっきり涼しくなったのに
真夏の話を描いてる。。。
このまま年を越しそうな気がする。
夏が終わらん。。

Badさん
いつもありがとね。
女性のふんどし姿、確かにそのアンバランスさが
眼を惹きます。
近いうちに描くね。
おやすみなさい。

ふぃがろ




真性マゾ女子高生齋藤麻紀 『切ない憧れ』

『切ない憧れ』

呼吸をするのでさえ
身体中の力が削がれていく思いがする暑さだった。

制服の下を滲み出る汗が
少女の肌に舐め廻していた。

”急がないと・・・
   遅刻しちゃう・・・。”

そう言い聞かせてはいたが
十数分後には始まる切ない行為に
少女は言い様の無い
遣る瀬無さを感じていた。

”何故、こんなことに・・・?”

足が重い・・・
階段を一段登るたびに
答えが判っている疑問を自らに問い掛けた。

”私が悪い・・・。”

暫くすると
悲しみとも怒りともつかない気持ちを伴い
その疑問が込上げてくる。

少女はある人物と
寺と墓地の裏側に位置する公園で
待ち合わせをしていた。

その人物がどのような人物なのか
老若男女、
素性も全く見ず知らずの人間であった。

昨日の帰り際、
教室で少女はその場所を
クラスメートに伝えられた。
少女はまだその場所に行ったことはない。

山の裏手に位置する公園には
滅多に人も来ない。

殆ど使われていない
錆び付いた遊具が置かれているだけだという、
その雰囲気だけで少女を気鬱にした。

その気持ちを更に追い込むように
依頼者は一つ注文を付けてきていた。

”首輪をしてスカートを降ろして階段を登ってくること。”
という命令だった。

「え・・お寺の階段から・・ですか・・・?!」

少女の名前は齋藤麻紀。
はまだこの知久土町に来てから
日が浅い。

養い親であった曽祖父母が亡くなり、
それまで離れて暮らしていた母と
彼女はここで再び暮らし始めていた。

山の裏手の公園だけでなく、
寺の階段自体、
まだ登ったことは無かった。

だが登下校の際に垣間見る、
寺への階段の長さは遠目ながらも判っていた。

「いやなの・・・!?」

”学校以外で知らない人と
寂しい場所で・・・
  ス・・スカートを外して・・・?”

少女を躊躇させるには
充分な理由だった。

初めての貸し出しマゾ調教・・・。

限られた教室の中で
全裸で居ること自体、全く慣れていない。

寺の階段で幸絵と出逢う一日前の話。

”ど・・どうしよう・・・!?”

麻紀にはクラスメート達と交わした約束があった。
『クラスメート全員の変態マゾ奴隷になる』

ある事情から
それに逆らうことは出来ない。
約束・・・いや命令は絶対なのである。

「い・・いえ、い・・行きます。」

麻紀は慌てて土下座をして
命令を復唱した。

「は・・はい、あゆみ女王様・・・
 変態マゾ奴隷うんこ豚斉藤麻紀、
 明日13時にお寺の公園に
 ・・く・・首輪装着、
 スカートを脱いで・・伺わせて頂きます・・・。」

なかなか交わすことの出来ないクラスメートとの会話、
了解の返事を期待したのだが
頭を上げた時、
クラスメートは既に教室を後にしていた。

昨日のことを思い起こしつつ
山門にたどり着いた麻紀は
鞄から首輪を取り出した。

「ふぅ・・・・。」

首輪を見つめて麻紀は悩んだ、
首輪だけならまだしもスカートも・・・?

長い階段を仰ぎ見ても
人影は見当たらない。

しかしながら、
いつ墓参に訪れた人々と出くわすかもしれない。

もし、首輪をつけながら、
スカートを脱ぎ去った自分を見られたら、
どう思われるだろう・・・?
羞恥心は彼女の頬を真っ赤に染めていた。

”だ・・だめ・・・できない・・・。”

もともと
おとなしく引っ込み思案な少女であったが為に
友達を作れない自体を招いている。

その事態を打開するのが
彼女のもう一つの性格にあった。

「ああ・・き・・来て・・・。
 もっと・・・。」

麻紀は胸の奥にある
羞恥心の向こうにある覚醒を
必死に呼び起そうとしていた。

”ああ・・だめ・・、
 でも時間になっちゃう・・・”

まだ恥ずかしさが勝っていた。
しかし、時間は刻一刻と過ぎていく、
麻紀は階段を登り始めた。

そして給水所までの階段の
中程に至った頃であった。

ダタッ、タッ、タッ・・・タッ

「・・・・?」

フワッ

軽やかな足音共に
麻紀の冷たく湿った頬に一陣の風が吹きつけた。
そして・・・
明るい声が響いた。

「はぁっはぁっ・・・
 こ・・こんにちわっ、
 お墓参り・・ですかっ!?」

「えっ?・・えっ??」

つい先程まで全く人影が無かったのに
突然、礼服に身を包んだ女性が
目の前に立っていたことに
麻紀は驚きの声を上げた。

両手に荷物をいっぱいに持ち、
汗を額に浮かべながらも
満面の笑顔を麻紀に向けていた。

”あ・・ス、スーパーのお姉さん・・!?”

麻紀はその女性を知っていた。

麻紀の家は町境にあり、
どちらかといえば
この女性の勤める哀玩ストアより
大型で品揃えの良い隣町のスーパーの方が近い。

ところが2週間程前、
そのスーパーが修築で3日間の臨時休業になった為、
止むを得ずが彼女の学校の近くにある
哀玩ストアを訪れたのだった。

その時に出逢ったのが
この女性だった。
その為にその日から
食材の買出し先は哀玩ストアに変わっていた。

唯、それは麻紀に限ったことではなく、
その臨時休業で値段は
殆ど変わらない哀玩ストアに
買出し先が変わった客は多かった。

その理由は哀玩ストアの店の雰囲気に有った。

この女性の明るさ愛らしい笑顔の貢献は当然ながら、
彼女に触発された
他の店員達の態度が
店の雰囲気を良くしており、
売り上げは2割程度も増していた。

そんなことを麻紀が知るはずもないが
他のレジよりも多少人が多くても
彼女の列に並ぶ客が多いことには気付いていた。

"スーパーのお姉さん・・・坂井幸絵さん。”

麻紀は女性の名前も知っていた。
その明るさと優しげな微笑で
みんなに愛されている、
天真爛漫な輝きをもっていることに
麻紀は憧れていた。
レジで向かい合う時に名札から知ったのだった。

「いらっしゃいませ!」

憧れの女性・・・坂井幸絵さん

毎日のように通うようになったストアではあったが
幸絵の挨拶に麻紀はぺこりと
頭を下げることくらいしか出来なかった。

”私もこのお姉さんようになりたいな・・。”

レジを待ちながら、
いつも憧れの目で彼女を見ていた。
その彼女が息を弾ませて目の前に立っていた。

「あ・・首輪・・わんちゃんのですか・・?」

語りかける言葉は暖かく、
見つめる瞳は
店で逢う時以上に優しさに溢れていて
美しい宝石のようにさえ思えた。

「あ・・い・・いえ・・・!」

麻紀は咄嗟に首輪を背中に廻し
眼を伏せた。
これから自分が嵌める首輪が
そして自分自身が
とても汚らしい物に思えたからだった。

「・・あ・・ごめんなさい、
 お店でも無いところなのに・・・。」

幸絵は言い淀んだ、
麻紀が気を悪くしたのだと思ったからだった。

「い・・いえっ・・・
 ち・・違いますっ・・・あの、
 わんちゃん、あの・・欲しいなって思ってます・・・。」

「あっ・・・そ、そうなんですか・・・!?
 よかった・・・。」

心配そうだった
幸絵の顔に笑顔が戻った。

「その可愛い首輪が似合う・・・
 似合うわんちゃんが見つかるといいですね・・・。」

「あ・・はい・・・。
 ごめんなさい・・・。
 わ・・私そそかしくって・・・。」

「うふっ・・是非、また
 わんちゃんのお話聞かせてください。
 あ・・ごめんなさい、今日は急用が有って・・・
 また(哀玩ストア)、いらしてくださいね。」

「はっ・・はい・・。
 か・・必ずお話に行きますっ・・・・!!」

幸絵の笑顔を眩しそうに見つめていた
麻紀もいつしか笑顔を浮かべ
精一杯の声を出して挨拶をした。

「はいっ、お待ちしています。」

麻紀の思わぬ大きな声に
幸絵は微笑を漏らし、
再び頭を下げ階段を駆け下りていった。

”・・こんなにいっぱいの
 普通のお話をしたの
 どれくらいぶりだったかな・・・?”

女性の残していった微笑に感動していた。
見つめ続ける女性の後姿が
そして見る見るうちに
小さくなっていくのがとても寂しく思えた。

”も・・もっとお話したいな・・・。”

すると、
50段も下ったところで
幸絵が振り向いたのが見えた。

「はぁ、はぁ、はぁ
 あ・・よろしかったらお名前を・・・
 私、坂井幸絵ですっ・・・。」

”え・・え・・・っ!?”

「あ・・わ、私、変た・・
 さ・・齋藤っ・・
 齋藤麻紀ですっ!」

「斉藤・・麻紀さんっ、可愛らしいお名前、
 これからもよろしくお願いしますっ・・。」

涙が潤んだ。

「は・・はいっ!」

麻紀は大きな声で返事をし
大きく手を振り返した。
手を振ることの出来ない幸絵は
それに気付くとニコリと微笑み頭を下げた。

”私の名前を覚えてくれた・・
  ・・坂井幸絵さん・・・!”

既に知っていた名前だったが、
もう彼女の名前を知っていることを
隠さなくて良いことが嬉しかった。

その嬉しさに
麻紀は珍しく元気良く頭を下げていた。

幸絵は再び微笑み返すと
身を翻し階段を降り始めた。

駆け下りていく姿に
慌てた様子は伺えたが
両手いっぱいの荷物を持ちながら
風を切って走り下る姿は凛々しくも見えた。

”・・・幸絵さん・・・、
 幸絵さん・・幸絵さん・・・。”

麻紀は彼女の名前を心の中で連呼した。

”また、逢いたいな・・・。
 で・・できればお友達に・・・。
 うんん・・・時々お話してくれるだけでも・・・”

階段を降りきり、
山門をくぐる幸絵の姿を見つめながら思った。

”・・・でも・・”

彼女の姿が木陰に隠れると
ゆっくりと背中に廻した首輪を前に戻した。

”きっと・・だめ・・・。
 私のこと・・知ったら・・・・・。”

湧き上がった微かな望みを
赤い首輪が打ち消していた。

憧れの幸絵に出逢ったことが
返って自分に待ち受ける行為の惨めさを引き立たせた。

涙が溢れ出る・・・ああ、どうして・・・?

”こんなに・・こんなに汚れている私が
 素敵な幸絵さんに惹き合うはずも無いよ・・・。”

いつしか頬を涙が伝っていた。

”ああ・・なんで・・・?”

その言葉をまた繰り返していた。

悲しみと切なさは
普通の女性として生きてはいけない絶望を
麻紀に予感させていた。

麻紀の瞳は沈んでいた。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
あとがき
あー長い話、ちかれた。
多感な少女の気持ちが伝わるといいなー。

Badさんへ
ありがとうっ!
あれはあれで恥ずかしい処理の仕方のように思えました。
羞恥プレイですね。。。
また、よろしくね。

ふぃがろ

プロフィール

ふぃがろ

Author:ふぃがろ
ふぃがろです。
よろしくお願いします。

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